布団の回廊と綺麗に食べられる魚料理  ようこそ 今俺のいる場所へ Ⅱ

jplenio / Pixabay

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それは不思議な建物だった

外観は塔というよりどこにでもあるようなビルだ 全面ガラス張りでそこに青空が反射して青く光り輝いている

しかし一歩中に中に入ると全然違う 内装の全てが色の褪せている古びた木材で造られている

まるで遥か昔に建てられた木造の塔の中にいるようだ

塔の中は真四角の空間で広さはおよそ25平方メートルといったところか

中央は天辺まで吹き抜けていて塔の各階には幅1メートル程の通路が四方をぐるりと取り囲んでいた 下から見る限りそれ以外は何もない 一体何階まであるのだろう?

それにしても変だ 上に行こうにも階段も梯子も見当たらない ただ通路があるだけなのだ

そもそもあれは通路なのかだろうか どうやって上にあがればいいのだろう

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いつのまにか俺は塔の上の階にいた おかしい どうやって?

訳が分からない でも何故かさらに上に行きたい衝動が掻き立てられる

そして気が付くとさらに上の階に俺はいた

どうやら上に行きたいと念じれば上の階にいけるということか

通路も変だ 何故か敷き布団が敷き詰められているのである まるで布団の回廊だ

布団はフカフカでシーツは驚くほど白くて清潔だ その上を土足で歩くのは気が引ける

その時 俺は靴をいつのまにか履いていないことに気が付いた いつ靴を脱いだんだ?

何が何だか分からない ともかく俺は塔の上に行くことに決めた

布団の回廊を渡って上へ上へと進んでいく

すると…

MariceladeLopez / Pixabay

なんだ? 人がいる? 誰もいないと思っていたのに 女の子だ 見たところ5.6才くらいか

変だな以前どこかで会ったことがあるような気がする

 

その少女は俺を見ると嬉しそうににっこりと笑う

「あ! A! こっちこっち 来て! ねえ遊んでよう」

…俺を知っている? 誰?

…そうだ思い出した 幼馴染のBちゃん…

でもおかしい 有り得ない

Bはもう子供じゃない 彼女はもう3人も子供を持つ母親のはずだ なのに目の前のBは無邪気で可愛かったあの時の姿で俺の前に立っている

そして俺はBの他に誰かいるのに気が付いた

それはBの兄貴のCだった 「よお!久しぶり」

「ああ!久しぶり 元気か」俺も予期せぬ再会に喜びを隠せなかった

「何だよ 何処へ行くんだよ」

「この塔の上へ この塔が何なのか確かめたいんだ」

「なにぃ 駄目だここを絶対絶対通さないぜ!B!とおせんぼだ!」

「うん とおせんぼ!」

「なんだよぉ もう ふざけんなよぉお前ら」

俺たちは再会を喜びお互いの近況を語り合った

けれど俺は先を急がなければならない

先に進まなければならないことを二人に告げるとCはとても名残惜しそうだった Bは今にも泣き出しそうだ

別れを告げてこの場を去ろうとした俺にCは「これ持って行けよ」と包みを差し出した

「途中で腹が減ったら食ってくれ」

俺は包みを受け取りCの気遣いに心から感謝しながらまたの再会を約束して彼らと分かれた

 

包みの中にはお皿に盛られた見事な魚料理だった

俺はそれを鳴れないフォークとナイフを使って口に運んだ

凄い こんなに綺麗に骨だけ上手く切り分けられる魚は見たことない

俺は何故かそのことにいたく感激した 味は正直どうでもよいくらいに

満足してすっかりそれを平らげると俺は眠気を覚えた

俺は横になる ここは布団の回廊だ ひと眠りするには丁度いい

まどろむ意識の中で俺は一つ思い出したことがあった

そうだ おれはCのこと子供の頃からずっと大嫌いだった

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