あなたに数学の特別授業のご案内です  ようこそ 今俺のいる場所へ Ⅳ

geralt / Pixabay

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やばい 遅れてしまった

もう10時を回っている もう2時間目の授業も始まっている

俺は焦っていた これ以上授業を出ないと出席足りなくて留年確定だ それだけはまずい

学校について自分のクラスに前に来ると担任の怒鳴り声が聞こえる

ドアが開くとゾロゾロを出てくるのはクラスの札付きのグループ 俺は咄嗟に身を隠す

あいつらまた何かやって追い出されたのか クズどもが…

人のこと言えるのかよ 大して変わらない嫌われ者なのに

 

まいったな こんなタイミングで教室に入るのは実にまずい

でも行かなければならない 前門の虎後門の狼とはまさにこの事

後ろのドアにそっと開ける 無駄と分かっていても身を低くして音をなるべく立てずに自分の机に向った

席に着いた 何故か何も起きなかった クラスの連中も誰も俺を見ようともしないし気付く素振りもない それどころか担任も普通に授業を続けている

無視されている? そんなんじゃない まるで俺の姿が見えていないかのようだ

どうなっているんだと思ったが俺は教科書とノートを出してそのまま授業を受けることにした

…下手なことを言ってやぶから蛇になるのが怖かったんだ

何事もなかったかのように授業は坦々と進んで終了の時間となった

やれやれ無事に終わりそうだとほっとしたその瞬間 担任が俺を名を呼んだ

 

俺は凍り付いた 心臓は外に聞こえるのでないかと思うくらい大きく鼓動する やっとの思いで「はい」と返事をする

「実は君に朗報があります 来月○○高校での数学の特別授業に招待されました」

皆がざわついて俺の方を見る

「は?なんで?…ですか」

俺は狼狽えた 何故なら俺は最も苦手な科目だからだ

○○高校というのは市内でも有数の進学校 そこでの特別授業は文字通りの「特別」なのだ

県内の高校から選りすぐりの数学の成績が優秀なヤツが集まるんだ 俺なんかとても及びじゃない

呆気に取られている俺にかまわずに当日使用するテキストを渡されて担任はクラスを後にした

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放課後 俺はひとり教室に残っていた 渡されたテキストを開いてみる

なんだこれ さっぱり分からない 英語の文章の方がまだましだ

何故俺なんだ 学校サボりまくりの俺に対する嫌がらせなのか

でもおかしい 下手をすれば学校の名に傷がつくようなことをするのか

それに担任もクラスのみんなにも悪意が全く感じられない

一部のヤツに なんであいつ? という妬みの視線を感じただけだ

こんなとこに行っても俺は何も出来ないぞ

散々考えたけど答えは出ない 釈然としないまま俺は教室を後にする 校内には誰もいない

 

昇降口へ向かう途中 突如ヒステリックな叫び声がする 視聴覚教室からだ

驚いた俺は中を覗いてみると担任が一冊の本を注視しながら教室の中を行ったり来たりしている

興奮しきって今にも泣きだしそうだ その様子は尋常ではない 俺がいることも気づいていないようだ

「分からない 分からない 何故だ… 何故だ…」 え?何が?

その時俺は担任が握り潰さんばかりに両手で掴んでいるの例の特別授業の数学の問題集だと気付いた

…ていうことはその数学問題が解けないってこと?

担任は更に興奮し激しく室内を往復する 顔には恐怖と絶望、そして狂気が浮かんでいた

「分からん分からん分からん分からん分からん分からん!!! 畜生ぉー! なんでだぁぁぁぁー!」

「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”」

絶叫し続ける担任を残して 俺はその場を逃げ出した

何だこれ いったい何がどうなっているんだ

そもそもアンタ 数学の教師じゃないだろ

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